【江戸のエナジードリンク】夏の暑さを忘れさせる「夏の甘酒」の秘密とは?

質の高い時間をさりげなく過ごすひと
ギラギラした日差しの真夏も涼しげに過ごしている余裕のあるひと
清涼感をたのしむ方法は、風景を楽しむものや、音を楽しむもの、風や光の陰影を感じるものなど、日本にはたくさんの文化があります。
江戸時代から、味覚で清涼感をたのしむ夏の風物詩、甘酒。
甘酒は、あなたがホッと一息つける時間を提供してくれます。
今回は夏の暑さを忘れさせる夏の甘酒の秘密の紹介です。
Contents
「夏の甘酒」が流行したのはいつから?
画像引用元:Me(ミー)
「夏の甘酒」は、江戸時代に大流行しました。
江戸時代、甘酒(炊いたご飯に米こうじと湯を加え、一夜保温しておくと、翌朝甘い飲み物にになる)は主に夏に飲まれた。
その理由は、甘酒には大量のビタミン類、アミノ酸類が含まれていて、現代の医療に当てはめてみると、栄養補給の点滴と同じであるあらだ。
江戸時代、夏の厳しい暑さに老人や子供たちは体衰弱し、夏を越せない人も少なくなかった。
そんな時、一杯の甘酒は弱った体に活力を付けていたのである。
江戸や大坂市中には、夏になると甘酒屋が「甘酒~え、甘酒~え」と声を張り上げて売り歩いていたことは「守貞漫稿」(もりさだまんこう)という古文書に記述されている。
そのため、今でも俳句の季語辞典を見ると甘酒は、夏の季語となっている。
出典 夏の甘酒 ~弱った体の活力源に~
長い流行が廃れた原因は?
食あたりを起こした人が、しばしば見られるようになったのが原因のようです。
この頃の新聞でしばしば見られるのは、夏ごろに甘酒を飲んだ人が食あたりを起こすという事故の記事だ。
1927年5月27日付の東京朝日新聞では、甘酒を食した家族が激しい下痢腹痛を起こし、1人が死亡し、4人が危篤と伝えている。
甘いものが貴重だった時代に砂糖のような甘みを味わえる甘酒は、庶民の間で大流行しました。
徐々に庶民の間でも自分で作る人たちが増えたのですが、現在のように衛生管理が行き届いていない時代です。
甘酒による食あたりが頻繁に起こったため「夏の甘酒」は昭和初期に廃れたようです。
その後、甘酒は冬の飲み物になったとか。
昭和初期まで100年以上も流行していた理由は?
江戸時代には、「江戸わずらい」と呼ばれた風土病が恐れられていました。
「脚気」と呼ばれる症状です。
原因は、江戸で流行していた白米食でした。
江戸から地元へ帰り、玄米食に戻ると体調も元に戻ることから、「江戸の病気=江戸わずらい」と呼ばれました。
その気になれば、どんな栄養でもサプリメントで補える現代では考えにくいことですね。
このように、科学の発達していない時代は、なにが役に立つのかを「経験則」で理解していました。
そうした環境と経験則から、栄養満点で滋養強壮にうってつけの甘酒が、夏場の貴重な栄養補給として流行したのです。
「甘酒=飲む点滴」はほんとうなの?
先ほど、「江戸の人たちは甘酒が、暑気払いや夏バテ防止になることを経験で知っていた」と書きました。
では、実際に甘酒の栄養価はどうなのでしょう?
本当に「飲む点滴」なのでしょうか?
気になる点滴の中身は?
点滴の基本は生理食塩水かブドウ糖液で何も中身を追加せずに投与する場合脱水と電解質の補正が主な役割です。
出典 点滴の中身はなんでしょう?
栄養価は、1時間かけて点滴をしても100カロリーほど。
まんじゅう1個より少ないカロリーです。
甘酒自体の栄養価は?
甘酒100グラムに含まれる成分です。
エネルギー | 81 | kcal |
---|---|---|
水分 | 79.7 | g |
タンパク質 | 1.7 | g |
脂質 | 0.1 | g |
炭水化物 | 18.3 | g |
灰分 | 0.2 | g |
詳しく見てみると・・・・
ナトリウム | 60 | mg |
---|---|---|
カリウム | 14 | mg |
カルシウム | 3 | mg |
マグネシウム | 5 | mg |
リン | 21 | mg |
鉄 | 0.1 | mg |
亜鉛 | 0.3 | mg |
銅 | 0.05 | mg |
マンガン | 0.17 | mg |
B1 | 0.01 | mg |
B2 | 0.03 | mg |
ナイアシン | 0.2 | mg |
ナイアシン当量 | 0.5 | mg |
B6 | 0.02 | mg |
葉酸 | 8 | μg |
水溶性食物繊維 | 0.1 | g |
不溶性食物繊維 | 0.3 | g |
総量 | 0.4 | g |
食塩相当量 | 0.2 | g |
参照:食品成分データベース 文部科学省
ミネラル各種とビタミンB群の含有量が目立ちます。
実はそこに「夏の甘酒」が江戸時代に愛されたひみつがあるんです。
江戸時代の庶民にはたしかに効果があった
現代と比べれば、甘酒が流行した時代は、摂取できる栄養に限りがありました。
先ほど紹介した「江戸わずらい」の原因は、ビタミンB不足によるものです。
必須ビタミンが不足するほど、当時の江戸庶民は栄養状態が貧弱でした。
食べもの・飲みものが限られていた江戸時代~昭和初期に、甘酒は不足している栄養を補ってくれていたんです!!
これが、暑さから体調を崩しやすい夏に甘酒が重宝される理由だったのです。
・・・では、「夏の甘酒」は現代の日本人には必要がないのでしょうか?
今の日本人に必要なのは甘酒に含まれている微量成分
ここで、甘酒に含まれる栄養成分をもういちど・・・
- ナトリウム
- カリウム
- カルシウム
- マグネシウム
- リン
- 鉄
- 亜鉛
- 銅
- マンガン
- ビタミンB群
- 葉酸
- 食物繊維
これらミネラル・ビタミン類は、現代の日本人に不足している成分が少なくありません。
他にも、必須アミノ酸や発酵する段階で麹菌がつくり出す酵素が100種類以上・・・
さらに最強の抗酸化物質と言われるエルゴチオネインも含まれています。
飽食だけど栄養が不足気味
という食事バランスの現代日本。
甘酒が江戸時代と同じ重さの役割を果たせなくても、健康やエイジングケアに役立つことは変わりありません。
甘酒をより栄養価の高い飲みものにしよう!
昔も今も栄養が豊富な甘酒。
古くは平安時代にその原型を見ることができる甘酒。
甘酒を飲むことが日本の伝統的・文化的な生活です。
その甘酒を、子どもと一緒に楽しんだり、栄養価をアップさせて楽しみましょう!!
子どもでも飲めるように
酒粕を使った甘酒もありますが、米こうじを使えば子どもでも飲めます。
つくり方は・・・
- 米こうじを準備する
- 米こうじを茶わん1杯分に対してご飯3杯分、お湯(50~60℃)7杯分を加えて混ぜ合わせる
- 電気炊飯器で、55℃~60℃に設定する
- 30分過ぎたくらいで一度かきまぜる
- そのまま保温して8時間おく
翌朝には、とても甘くてトロトロに溶け合った甘酒が出来ます。
これを冷蔵庫で冷やして、きりっと冷えたら「夏の甘酒」のできあがり!!
市販の甘酒を購入する際のポイント
- 米麹をつかっている
- 砂糖を加えていない
- 米は有機農法で生産されている
この3つをクリアしている商品は安心できます。
甘酒をつくるなら赤米・黒米に期待!
赤米・黒米は、白米よりも栄養価に優れています。
どちらも雑穀米なので、白米に比べてビタミン・ミネラル・食物繊維、ポリフェノールの含有量に優れています。
どちらも個性的な味わいなので、混ぜる量は大さじ1くらいからはじめると良いでしょう。
甘酒をつくる時に加えて、さらに栄養価を高めましょう!!
材料3つで夏の甘酒を10倍たのしめるシンプルレシピ!!
現代版・スーパードリンクの完成も近づいてきました。
あとは、できあがった甘酒を楽しむだけ。
夏だから味わいたい、甘くて冷たくてビタミン豊富ですぐにつくれるシンプルレシピは・・・
甘酒のヨーグルトスムージー!
オーガニックでこれ以上ないシンプルレシピなのにとっても美味しい!!
甘酒×豆乳ヨーグルト×フルーツ
材料
- 冷やした甘酒
- 冷やした豆乳ヨーグルト
- 好みのフルーツ(冷凍)
つくり方
材料をミキサー・ブレンダーに入れて混ぜ合わさったらできあがり!
はじめは1:1:1の割合でつくってみてください。
そこから味わいたい材料の割合を変えると、好みのレシピもかんたんに見つけられます。
酸味の強いフルーツなら、甘酒2:豆乳ヨーグルト2:フルーツ1の割合がおすすめですよ!!
※無農薬でないフルーツは、使う前に農薬を洗い落とします。
甘酒ヨーグルトを応用します。
甘酒ガスパチョ
ガスパチョは、スペイン料理とポルトガル料理の冷製スープです。
材料
- 甘酒 100cc
- 豆乳ヨーグルト 100グラム
- フルーツトマト 4個
- 塩 お好みで
- 黒こしょう お好みで
- オリーブオイル 小さじ2
つくり方
- フルーツトマトをカットする
- 甘酒、豆乳ヨーグルト、フルーツトマトをミキサーに入れてブレンドする
- 塩であじを整える
- 器に注いでから、黒こしょうとふり、オリーブオイルをかける
※フルーツトマトが無い場合は、ふつうのトマトでも代用できます。
さらに、シンプルレシピ!
甘酒×豆乳
冷やした甘酒と冷やした豆乳を1:1の割合で加えます。
とろっとした舌触りと、まろやかな口当たりが魅力です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は夏の暑さを忘れさせる夏の甘酒の秘密を紹介してきました。
口当たりのやさしい甘さが魅力の「夏の甘酒」
ちょっとだけアレンジすることで、栄養補給に、ひと息つきたい時のドリンクに、冷製スープにして食事で楽しむこともできます。
今年の夏は、江戸時代の日本人が慣れ親しんでいた甘味をたのしんでください!!
次の記事では、疲れたからだをリフレッシュする方法を紹介しています。
「夏が終わると、気づかなかった疲れがでる」
ことはよく起こります。
秋から冬にかけて楽しく過ごすためにも!夏がおわる前に、リフレッシュの方法も知っておいてくださいね。